「モノ」から「コト」、そして
さらにトキ消費・イミ消費へ
移ってきた生活者の志向や変化の背景
バブル期までのモノ消費の時代に人々が消費していたのは、商品やサービスそのもので、言い換えれば、商品・サービスの機能でした。70年代ごろの人々は、最新型の家電など暮らしを豊かにする商品の購入を通じて物質的な豊かさを実感。また、80年代には、ブランドもののアイテムや輸入車など、流行のモノを所有することで他人と差別化しようとする傾向が見られるようになります。
モノが好き(所有することが大好き)
しかし、90年代後半になると、人々はすでに多くのモノを所有している状態に。商品やサービスがあふれる中で、「欲しいモノが特にない」「欲しいモノがわからない」と感じるようになり、より精神的な豊かさを求めるようになります。そこで現れ始めた消費行動がコト消費です。
コトが好き(体験することが大好き)
新たに見られるようになった消費行動として、生活総合研究所が提唱するのが「トキ消費」です。
トキが好き(そこにいること大事)
同研究所は消費行動が変化している背景にあるのは、スマートフォンなどのモバイルデバイスとSNSの普及だと同研究所は分析しています。より多くの人々が自身の体験をシェアするようになり、それらの投稿を見るだけで消費者はあらゆるコトを疑似体験できるようになったのです。体験の情報が氾濫して、人々は既存のコトには目新しさや魅力を感じなくなっているといいます。
「イミ消費」は、商品・サービス自体の機能だけではなく、それらに付帯する社会的・文化的な「価値」に共感して選択する消費行動です。
社会に貢献できるという付加価値が含まれた消費のこと
たとえば「環境保全」「地域貢献」「フェアネス(正義)」「歴史・文化伝承」「健康維持」などがキーワード。そうした付帯価値へ対価を支払うことによって、人々は充足感や貢献感を得ようとします。商品・サービスそのものが直接環境や社会に貢献する必要はなく、上記のキーワードが付帯した商品を選ぶことで間接的に貢献できることに意義を感じる消費の在り方である点が特徴です。
モノを購入することで、自分自身が現時点でいいコトを体験できるだけでなく、他者や将来の自分にいい影響を与えようとしているといえるでしょう。
2015年の内閣府の調査でも、「社会的課題につながることを意識して、商品・サービスを選択しようと思っている」と回答した人の割合が約64%となっており、この傾向を見て取ることができます。
建築業界も変革の時代に突入です。
クレド鷹.nakamine